あとわずか数日後、地球上の人類すべてが、全く新しいタイプの試練に直面します。2000年問題(英語ではY2K、あるいは Millenium bug)がそれです。本やテレビ、インターネットなどを通じて民間にも情報が広まってが、言語が異なる皆さんは、この件についてどの程度知り、対策を立てておられるでしょうか?
コンピューターが登場したばかりの頃、そのメモリー装置は大変高価なものでした。そこで、コストをおさえるために、4桁の年号を下2桁だけで扱うことになり、以来最近までコンピューター、あるいは半導体チップを用いた多くの機器において、そのやりかたが続けられてきました。例えば、1975年は単に75として扱わられてきたのです。そうすると,来る 2000年は00という扱いになり、コンピューターはこれを1900年と誤って解釈し、正しく働かなくなる恐れがあります 。
私たちの暮らしは、目に見えるところから見えないところまで、無数のコンピューターによって支えられていますが、それが誤った働きをしたり、停止したらどのようなことになるでしょう? 1999が2000に変わる瞬間から、さまざまなトラブルが発生するでしょう。それがどの程度での規模で、どれくらいの期間続くものか、誰にも正確な予測は不可能です。身近な問題としては、最悪の場合、電気、水道、ガスの供給がストップし、電話の交信が乱れ、自動車が暴走し、鉄道も停まり、飛行機も飛ばなくなるかもしれません。もしも石油の輸入がとだえ、国内の備蓄が底をついたら、輸送手段も失われ、食料も手に入らなくなります。日本は世界でも最もコンピューターが使われいる国であり、また食料の60%、エネルギー資源のほぼ100%を海外に依存しています。したがって、この2000年問題の影響はどこの国よりも深刻であろうと考えられます。
もちろん、日本政府も各地方自治体も企業も、問題に真剣に取り組んでおります(企業の一例として、JTB-Japan Travel Bureau は、年の変わり目をまたぐ飛行機を利用するツアーをすべて取りやめることにしました)。交換すべきチップの数は膨大で、しかも資金、時間、技術者が不足しており、関係者の必死の努力にもかかわらず完全な危機対策は不可能と見られています。したがって、あなたがた外国人を含めたわれわれ市民も、心と暮らしの両面で準備しておいたほうが賢明です。
故国を離れてこのような体験に出会うことになり、皆さんはきっと驚いたり不安になったりするかもしれません。しかし、今から冷静に準備を進めることで、災害を軽くする、あるいは避けることはじゅうぶん可能です。まず、コミュニティとしてじゅうぶん話し合い、きずなをさらに強めておくことが必要です。
具体的な対策について、数例示しておきましょう。
■食料、水、薬品、燃料、ろうそくなどを、個人、家庭、コミュニティで準備する。
■年末年始は陸・海・空の旅行をできるだけ避ける。エレベーターにも乗らない。
■重要書類、銀行通帳などは12月頃までにコピーを取って保管する。
■コミュニティの連絡網を整えて正確な情報を得るように努め、デマなどでパニックに陥らないよう冷静さを保つ。