ツール・ド・コミュニケーションのメンバーは2000年10月29日から11月6日の9日間、NPOによる社会変革活動が盛んなサンフランシスコ、シリコンバレー、シアトルを訪れ、パソコンやインターネットを利用したNPOの活動現場を視察してきました。

視察先

コンピュメンター(パソコンボランティア組織化)
・テクノロジー技術センター(パソコン・リサイクル)
・タイズ財団(社会変革財団)
・eGrants org(世界最初のオンライン財団)
・プラグド・イン(スラム地域でのパソコン教育)
・アリバ・ハントス(ラテン系パソコン職業訓練)
・ソーシャル・ベンチャー・パートナー(スペシャリスト派遣)
・リアルネットワークス財団(ネットワーク・インフラ)
・シアトル・コミュニティ・ネットワーク(Webコミュニティ支援)


テクノロジー技術センター
Technology Resource Center
Potrero Hill Middle School of the Arts, Room 106
700 19th Street Room 106
San Francisco, California 94107
http://209.35.80.181/trc/
テクノロジー技術センターは、サンフランシスコ学校区(教育委員会)が行うパソコンのリサイクル・センター。低所得者地域の中学校のなかに大きな部屋を借りてパソコンのリサイクリングを行っている。予算不足で十分なパソコンを揃えることのできないサンフランシスコ学区の低所得地域の学校を中心に、年間2700台(1999年実績)の中古パソコンを修理、再生して提供してます。
 

また学校だけでなく、低所得世帯のカンボジア移民の家庭にも配っている。低所得層の子ども達の家で自由にパソコンを使える環境をつくり、インターネットによる情報収集、発信やデザインなどの技術を通してエンパワーメントをしていくことが目的です。過去3ヶ月(2000年10月現在)に1000台のパソコンを家庭に配布しています。
 

中古パソコンはほとんどが企業から寄付される2〜4年落ちのものです。それを修理・再生するのは仕事のない人たち。彼らにここで技術を教え、一般の企業でも通用するように訓練している。数千台のパソコンがある大企業でそれをメンテナンスする技術者になっていきます。単なるリサイクル業ではなくいわば仕事支援です。

中古パソコンを寄付する企業は、ジャンク品も含めて古くなったパソコンをすべて引き取ってもらうことで処分コストの軽減になり、それ加えてより多くの子どもの達にパソコン教育の場を提供していくことはコンピュータ関連企業にとっても大きなメリットになります。

修理・再生したパソコンには、マイクロソフト社から特別価格(定価の15%)で提供を受けているソフトをインストールして、マルチメディアパソコンとして出荷しています。ロサンゼルスの学校区は海賊版を使用していたために50万ドルの罰金をマイクロソフト社に支払うことになったそうです。

中古パソコンがセンターに届いてから学校現場に出荷されるまでの平均日数は45日間。代表のレイ・ポーターさんは「寄付してもらったパソコンを責任を持ってリサイクルをすることが大切である」と語っている。

学校にパソコンを提供するだけでなく、その後のフォローもしっかりしています。コンピュメンター(CompuMentor, http://www.compumentor.org/)と協力して数十人ものメンターが学校区に派遣され、インターネット環境整備、DTP訓練、DB作成支援などを行っているほか、イントラネットを通じて問題点がセンターに寄せられる、それを解決していく仕組みを整えています。


中古パソコン寄付を促進する法律
アメリカでは、1997年8月、「民間テクノロジー投資のための21世紀クラスルーム法」が成立しました。これは企業の中古パソコン寄付への税制優遇を強化する措置で、企業が購入後2年以内のコンピュータを学校へ寄付する場合、買値(簿価)そのままの額を所得控除(損金扱い)できるというものです。
 アメリカではNPOなどへの現金寄付ばかりだけでなく物品寄付についても厚い税優遇措置がとられています。物品の場合は原価償却計算を施した時点での評価額(時価)を所得から差し引きます。通常、個人の場合で(経費控除後)所得の30%、法人で(経費控除後)所得の10%まで控除できます。多額の寄付をした場合は5年間に渡り繰越し控除もできます。
「21世紀クラスルーム法」は、これに特例をつくったものです。